消費者のニーズが多様化し、企業の広告手法も一筋縄ではいかなくなった現在。扱う商材だけでなく、その時代やユーザー像に特化したプロモーションを行っていく必要があるといえます。
そこで注目したいのが、現在人気を爆発させ続けている動画広告です。
しかし、この記事にたどり着いた貴方は、おそらく
「動画の市場規模が伸びてるって本当?」
「動画を使って広告を打ってみたいけど、市場規模って実際どのくらい?勝てる見込みはあるの?」
「そもそも動画広告ってどんな効果があるの?」
というお悩みをお持ちではないでしょうか。
そのため、今回の記事では動画広告の市場規模をメインに、その効果や注意点、また今後の展望にもフォーカスし、詳しく解説していきます。
▶YouTube広告の運用代行会社10選!広告の種類も詳しく解説
▶YouTubeやSNSで目にする動画広告のメリット・デメリットとは
目次
動画広告の市場規模は2,954億円(2020年)
動画広告の市場規模は、年々急激に増加している傾向にあります。
詳しく見ていくために、ここで株式会社サイバーエージェントが2020年に発表した調査を見てみましょう。
デバイス別市場規模
出典:株式会社サイバーエージェント「国内動画広告の市場動向調査」
上記の表は、パソコンとスマートフォンのデバイス別に集計した動画広告の市場規模です。2019年の数値が2,592億円であるのに対し、2020年は2954億円。さらに2021年には3,889億円、2022年には4,833億円と、右肩上がりで上昇しているのが分かります。昨年比では114.8%の成長を見せており、このまま安定的な上昇をしていくことが見込まれるでしょう。
その背景の一因として、コロナ禍における巣ごもり需要があります。1日の多くの時間を家で過ごすことが多くなったことによって、YouTubeなどの動画コンテンツを視聴する人口が増加。必然的に動画広告のニーズも高まったといえます。また、商材の認知拡大や興味喚起のためだけではなく、自社の商品を直接的にそのままアピールし販売を促進させるための手段としても注目されました。
動画広告の中でも、スマートフォン動画広告の需要が高まりつつあります。動画市場の89%はスマートフォンの動画広告です。今や誰もがスマートフォンを持つ時代、これから動画広告を打ち出そうと考えている企業担当者の方はスマートフォン専用の動画広告を考えてみるのも1つの有効な策ではないでしょうか。
広告商品別市場規模
出典:株式会社サイバーエージェント「国内動画広告の市場動向調査」
広告商品別でも市場規模が発表されています。最も大きな割合を占めるのは、YouTubeなどの動画サイトで動画を再生したときに現れる「インストリーム広告(1,156億円)」。その次に「インフィード広告(1,192億円)」、「インバナー広告(166億円)」が並びます。
中には初めて聞いた、という人も多いのではないでしょうか。動画広告、と一口に言ってもその中には複数の種類があるため、以下で簡単に触れておきましょう。
インストリーム広告とは
最もメジャーな手法であるインストリーム広告は、動画サイトのプレーヤー画面に表示される動画広告のことです。動画を再生すれば必ず目に入る広告であるため、ユーザーへのアピール度が高いのが特徴であるといえます。配信する際にはGoogleの設定から行うことで、細かなターゲティングが可能。動画の内容に興味を持ってもらえたらSNSなどで拡散してもらえる、というのもメリットです。
インフィード広告とは
Webサイトやアプリなどを使っているとき、フィード(タイムライン)に表示されるのがこのインフィード広告です。Facebook、TwitterなどのSNSをはじめ、ニュースサイトなどのキュレーションメディアでも多く利用されています。広告は見落としてしまうことが多いですが、インフィード広告は既存のコンテンツに馴染むスタイルをとっているので、ユーザーの体験を邪魔しません。そのぶん視認されやすいのが特徴です。
インバナー広告とは
インバナー広告とは、既存のディスプレイ広告枠に配信される動画広告のこと。動画内で配信されるインストリーム広告とは違って画面外に表示されるため、「アウトストリーム広告」とも呼ばれています。ページを開いた瞬間に自動的に動画の再生が始まるため、ページを閲覧する多くの人に見てもらいやすくなります。
オーバーレイ広告とは
Webサイトを見ている際、急に画面を覆うような広告が出てきたことはないでしょうか。それがオーバーレイ広告です。大きな広告のため視認されやすく、またクリックも誘発しやすいのが特徴です。画面を縦横無尽に移動したり、ユーザーの動きに合わせて拡大・縮小したりなど、多様なアニメーションが使われます。ただ、ユーザーの視線を遮って表示されてしまうため、ユーザビリティの低下などのデメリットがあることは否めません。
動画広告がもたらす効果
動画広告の市場規模は年々右肩上がりで上昇していることを確認しました。
それでは、動画広告を運用すると実際にどのような効果があるのでしょうか。
以下では「視覚性」「ストーリー性」「利便性」の3つの観点からメリットを紹介します。
①視覚・聴覚を通じて多くの情報を訴求できる
動画広告の最大の魅力は、なんといっても五感に訴えて多くの情報を与えることができるという点です。人間はおよそ9割の情報を視覚から得ているため、広告のデザインを工夫することでユーザーにより商材をアピールすることができるでしょう。動画に何かしらのアニメーションをつけることでユーザーの記憶にも残りやすくなるので、これはテキストや静止画では出せない強みであるといえます。
②商品のストーリーを伝えやすい
ものを買うとき、その商品の作り手の顔や制作の裏側が見えたら商品が魅力的に見えた、という経験はないでしょうか。これと同じで、商品にストーリーをもたせることで、よりユーザーの心を動かしやすくなります。例えば、「その商品を実際に使ったらどういう効果が表れたのか」「なぜその商品を開発しようと思ったのか」「商品開発に至るまでの試行錯誤」などといった視点です。これを取り入れる際には、キャスティングや脚本など、クリエイティブ面に着目して工夫すると良いでしょう。
③効果検証を行いやすい
YouTubeで配信する動画広告は、インプレッション数(表示回数)・再生時間・CTR(クリック率)まで、その動画広告を見たユーザーのさまざまなデータが計測できるようになっています。これを定量的に計測していくことによって、効率的にPDCAを回すことができます。想定していたターゲットに訴求できているか、どの時間帯で離脱されているか、など、複数の視点を持ちながら仮説検証を繰り返していきましょう。
動画広告の注意点
動画広告のメリットには3つあることを紹介しました。
実際に運用するときのことを想定して、以下では注意点について見ていきましょう。
①スキップされやすい
動画広告は、ユーザーが本来見に来ていたコンテンツに全く関係のないものであることが多いでしょう。インストリーム広告などは動画の再生中に流れてしまうため、離脱率が高くなるのは否定できません。ユーザーにとって魅力的なクリエイティブでなければ、最初の数秒が経ったらスキップされてしまうか、あるいはウィンドウを閉じられてしまうということも十分に考えられます。
実際に、株式会社ネオマーケティングが2020年に実施した「動画広告の接し方に関する調査」によると、動画広告を途中でスキップするという割合はなんと95.5%。そのため、いかに短い秒数でユーザーの心をグッと掴めるかが課題になってきます。
②静止画よりもコストがかかる
画像やテキストのみの広告とは違い、動画広告は専門性をもったクリエイターに制作してもらう必要があります。自社にクリエイティブに精通した人員が居れば良いですが、そうでない場合は、専門の業者にアウトソーシングしなければならないでしょう。その意味で、ただ画像を作るだけよりも、動画広告は時間や予算といったコストが多くかかってしまうことは承知しておくべきです。
動画広告の市場規模は今後どうなる?
動画広告の市場規模は今後どうなっていくでしょうか。これには、大きく3つの要因によって引き上げられていく可能性が考えられます。
①スマートフォンの全世代的な普及
②コンテンツのメインストリームが動画にシフトしていること
③5Gの浸透
順番に詳しく解説していきます。
①スマートフォンの全世代的な普及
今や年齢を問わず誰もが持っていると言っても過言ではないスマートフォン。いつでもどこでもスマートフォンが利用できるようになったことによって動画を視聴する人口も増え、それに比例して動画広告の需要も拡大してきています。
②コンテンツのメインストリームが動画にシフトしていること
画像やテキストと比べ、動画には一度に大量の情報を伝えることができるというメリットがあります。今や多くの企業のホームページに動画が使われていることもあり、今まで言葉で説明してきたものがビジュアルで説明されるようになってきました。この「動画化」の流れはスマートフォン利用人口の増加に伴い、今後も発展していくことが考えられるでしょう。
③5Gの浸透
大容量のデータにも高速で通信できるようになる5Gの技術。4Gと比較してデータ通信容量は1,000倍になり、通信速度も100倍になるといいます。NTTやソフトバンク、KDDIといった大手通信キャリアでは既にこの5Gの導入が図られ、さらなる動画市場の拡大に拍車がかかっているといえるのではないでしょうか。
動画広告の市場規模について|まとめ
動画広告の市場規模は年々右肩上がりで上昇していることを確認しました。
動画広告は、「今まで通りのPR方法では太刀打ちができない」と従来の手法に限界を感じている担当者の方に是非おすすめしたい手法です。効果的に動画を広告に使っていくことで、自社のさらなる業績アップに繋げていきましょう。
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